こんにちは、おもくらの魚担当です。
私は魚にまつわる仕事をしているのと個人的な興味から、大人になってからも専門分野の勉強をしっかりする機会を作るようにしています。
大人になってから勉強を始めると、これまで知らなかったことが若い時よりも理解が早くなった気がしています。
今回は日本人にとっては非常に馴染み深い魚の一種であるメダカの塩分耐性について調べてみました。
メダカは海水でも生きられる広塩性魚類
メダカは皆さんがご存知のとおり、淡水魚(塩分の入っていない、いわゆる真水に生息する魚)です。
しかし、実はメダカは海水でも生きることができます。
メダカはダツ目。海水魚ダツやサンマの仲間
メダカは生物学的な分類で言うとダツ目(もく)というグループに属しています。
海水に生息していたダツやサンマのような魚類のうち、進化の過程で淡水に適応した魚がメダカ(日本に生息するミナミメダカやキタノメダカ)です。
ちなみに東南アジアに広く生息するジャワメダカというメダカの仲間は海水と淡水が混じった汽水に生息しています。
海水魚の体液濃度調節機能
高校の生物基礎の授業を受けたことがある方には聞き覚えがあるかもしれませんが、メダカをはじめとする魚(硬骨魚類)には体内の濃度を一定に保つ機能があります。
海水を舐めるとしょっぱく感じますが、マグロやタイなどの海産魚をお刺身で食べたときはほとんどしょっぱく感じないですよね?
それがまさに、海水魚の塩類濃度調整機能によるものです。
海の塩分濃度は魚の体内の塩分濃度よりも高いため、マグロやタイなど海に泳ぐ魚類は、塩分の調整機能がなければ浸透圧によりどんどん海水が体内に侵入し、逆に水が体外に出ていってしまい、体液の濃度が上昇してしまいます。
そこで海に生息する魚類は体内濃度を下げるために海水を飲んで、腸で水分だけを積極的に吸収し、塩分をエラから体外へ排出するはたらきを持っています。
その塩分調整機能のおかげで、体内に塩分を溜め込むことがないため海水魚を食べても海水のようにしょっぱくないのです。
淡水魚の体液濃度調節機能
一方のメダカやコイといった淡水魚は、体内の塩分濃度のほうが淡水よりも高いため、浸透圧によりどんどん体内に水が浸入してきてしまいます。
そこで体液の濃度を上げる必要があるため、淡水魚類は淡水中のわずかな塩分をエラや腎臓で積極的に吸収する機能を持っています。
もちろんこの機能はメダカにも備わっています。
メダカの飼育環境下で徐々に塩分濃度を上げていけば、エラから塩分を排出する機能が活発になっていき、わずかな塩分の海水であれば生きていくことができます。
メダカを海水で飼育するのはおすすめしない
かといって海水でメダカを飼育しようとするのはおすすめできません。海水で生きられるというだけであって、メダカにとって海水は決して快適な状況ではありません。
メダカは誰でも淡水で簡単に飼育できるのが大きな魅力です。ぜひ淡水で育ててあげてください。
コメント