年末年始といえばカニ!
毎年12月中旬以降になると、魚屋さんやスーパーではカニ商戦が開催されます。
カニは1パックあたりの売上金額が非常に高く、年末年始の売上の多くを占めています。
日本人の年越し文化に完全に根付いてしまった感のある高級カニですが、どんな種類があるかご存知ですか?
この記事を読んでおけば自分の好みのカニが見つけられたり、どんなものを買えばいいか深く理解できるようになるでしょう。
年末・正月に食べるカニの種類
12月になると出回り始めるカニは主にズワイガニ、タラバガニ、毛ガニ、そして2022年になって急に現れたイバラガニの4種です。
それぞれの特徴を知っておきましょう。
ズワイガニ
ズワイガニは日本国内でもっとも多く消費されるカニです。脚は細長く10本あり、深海に生息する大型のカニです。
日本では主に北海道や本州の日本海側で漁獲されます。松葉がに、越前がに、間人(たいざ)ガニ、などはすべて各地のズワイガニの呼び名(ブランド名)です。
日本で漁獲されていますが私たちが食べるズワイガニはほとんどが外国産です。国産のズワイガニを食べたことがある方は実際のところそれほど多くないと思います。
家庭用で多く出回るのはズワイガニのオスです。メスはオスに比べて非常に小さく、脚の可食部も少ないです。
メスのズワイガニは「せいこがに」や「せこがに」「香箱(こうばこ)がに」と呼ばれ、11~12月のわずかな期間のみ市場に入荷します。寿司店などに出回る高級食材です。
さらに詳しい話をするとズワイガニとして市場に出回るカニはオピリオ腫(標準和名ズワイガニ)とバルダイ種(標準和名オオズワイガニ)、そしてベニズワイガニが存在します。
もっとも味が良いとされ、流通量も多いのがオピリオです。バルダイは大型で見栄えがするためカニしゃぶ用に加工されることが多いようです。
ベニズワイガニはオピリオやバルダイよりも水っぽいと表現され、価格的にも格下のイメージです。ホテルのカニ食べ放題などにはベニズワイガニが使われることが多いです。
タラバガニ
ズワイガニと並ぶ高級ガニのひとつがタラバガニです。深海に生息する大型のカニで、日本では北海道で漁獲されます。
こちらも日本国内に出回るほとんどがロシアやカナダ、アラスカ、ノルウェーなどの外国産です。
蟹工船で狙っているカニはこのタラバガニです。日本が大正時代ごろにサケやホタテ、タラなどを求め北洋に進出した際にタラバガニの食文化が形成されたようです。
タラバというのは漢字で「鱈場」と書きます。タラと同じ海域に生息していることから名付けられたといわれています。
雑学で有名なのが「タラバガニはヤドカリの仲間」というやつです。タラバガニは生物学的にズワイガニと同じく十脚目(じっきゃくもく/エビ目)に属しますが、その下位の異尾下目(いびかもく/ヤドカリ下目)に分類されています。
ヤドカリ下目にはヤドカリやコシオリエビなどが存在します。ズワイガニのように可食部になる長い脚が5対10本ではなく、4対8本です。
ただし退化してほとんど利用されていないだけで、実はタラバガニの甲羅の中には1対2本のひょろ長い脚がしっかり存在しています。
ちなみにタラバガニは加熱する前の状態だと茶色です。茹でると鮮やかに赤色になるのは、もともと含まれている赤色色素であるアスタキサンチン(筋肉中のタンパク質と結びついている状態では暗い青〜緑色)が、加熱されることで遊離し本来の赤色が呈されるためです。
イバラガニ
そして最近多く出回るようになったのがこのイバラガニ。イバラガニの名前で流通していることが多いですが、標準和名はイバラガニモドキといい、タラバガニと同じタラバガニ科のカニです。
「ゴールデンキングクラブ」というスゴイ名前で流通していることもあります。ややこしいですね。
見た目はタラバガニとよく似ていますが、表面のトゲが優しいような印象があります。
こちらも当然ながらロシア等からの輸入品です。タラバガニがあまりに高値になりすぎたため、代用品として利用されている印象です。
毛ガニ
地味な存在ですが玄人ウケするのが毛ガニです。その名のとおり全身が細かな毛で覆われています。
毛ガニは身を食べるというよりも胴体のかにみそが価値の半分くらいを占めているかもしれません。
ズワイガニのかにみそと比べると甘さと濃厚さはまるで異なります。毛ガニのかにみそは本当に美味しいです。
ズワイガニ、タラバガニの旬は夏
私たちが食べているカニは前述したとおりほとんどが外国産です。
日本では年末年始にカニを食べるイメージがありますが、実はそれらは夏にロシア等で漁獲され、船内でボイル、すぐさま凍結させて冬の間まで冷凍されたものです。
日本海で獲れる国産のズワイガニの旬は冬です。ここはみなさんのイメージどおりではないでしょうか。
カニは美味しいが値上がりが本当にすごい
ズワイガニ、タラバガニはこれまで多くを日本人が消費してきました。
しかしここ数年で世界中の水産物の取り合い状態になっており、すべての水産物が値上がりしている状態です。
タラバガニは数年前まで5Lサイズと呼ばれる約1kgのものが4,000円程度でしたが、今では7,500円くらい。
国産のカニはほとんど庶民の口に入らなくなっている今、そろそろ年末年始に別のものを食べる文化に変わってもいいのではないかな、と感じています。
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