なぜ牡蠣はあたりやすいの?むき牡蠣と殻付き牡蠣の違いって?

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牡蠣の季節がやってきた!

冬といえばたくさんの魚介類が栄養を蓄え旬の時期を迎えます。

1月に入って鍋の季節になると、スーパーや魚屋さんには身だけになった「むき牡蠣」が並び始めます。

関東では冬のイメージが強い牡蠣ですが、実は一年中漁獲されています。

北海道から九州まで各地で養殖されているため、春に旬を迎える地方、夏に旬を迎える地方など産地によって味を楽しめるのが牡蠣の大きな特徴のひとつでもあります。

北海道厚岸のガキカキ君。ふざけたパッケージだけど品質はとても良い

むき牡蠣と殻付き牡蠣の違い

形態と用途の違い

小売店や市場には主に「むき牡蠣」と「殻付き牡蠣」が並びます。

むき牡蠣は、牡蠣の殻を開け、内部の肉を取り出した形態のものです。

むき牡蠣は調理がしやすく、カキフライやオイル漬け、炒め物、パスタなどに使用することができます。

殻付き牡蠣は、収穫した牡蠣の殻をそのまま保った形態のものです。このような牡蠣はふつう、生食用として出荷されます。

取引方法の違い

むき牡蠣は産地で殻を取りはずしている状態です。市場では1kg単位で取引され、さらに小分けされてスーパー等に並びます。

殻付き牡蠣は市場でも1個いくらで販売され、主にオイスターバーやイタリアンレストランなど飲食店向けに取引されています。

価格の違い

むき牡蠣と殻付き牡蠣の価格の違いでいうと、輸送コストが安い分、圧倒的にむき牡蠣のほうが安く出回っています。

加熱用牡蠣と生食用牡蠣の違い

さらにむき牡蠣は生食用と加熱用に分類されます。

スーパーで販売されている牡蠣には必ず「生食用」や「加熱用」と記載されています。

加熱用牡蠣と生食用牡蠣は、使用目的によって異なり、料理に使用する場合は加熱用牡蠣が、生で食べる場合は生食用牡蠣が適しています。

「鮮度が悪いから加熱用」ではない

加熱用と生食用の牡蠣の違いは「獲れた海域」と「衛生管理」です。

生食用牡蠣には規格基準が定められており、基準に合格したものだけが生食用として販売されます。

魚の場合、小売店の判断で「刺身用」などシールで記述していたりしますが、牡蠣の場合は食中毒リスクが高いことから各県で衛生基準が厳格に定められています。

決して鮮度が良いから生食用、鮮度が悪いから加熱用、というわけではありません。

牡蠣にあたりやすい理由

牡蠣は貝殻を開けて内部の筋肉と内臓を一緒に直接生で食べる、数少ない貝類です。

生食用牡蠣は、正しい収穫と処理方法が行われていない場合に食中毒の原因となることもあるため、適切な処理が行われていることを確認することが重要です。

牡蠣は人間が暮らしているすぐ近くの海で獲れ、毎日数百リットルもの海水を吸い込んで摂餌しています。その際にヒト由来の病原体であるノロウイルスなどを貯めこんでしまいます。

さらに表面が多孔質(ごつごつしている)のため、海水中の常在菌でありヒトには食中毒の原因菌となる腸炎ビブリオなどの菌を貯めこみやすく、食中毒の原因になりやすいです。

生で内臓ごと食用にする貝は牡蠣だけではないでしょうか?しかも世界中で食べられているから不思議です。

貝塚では牡蠣がたくさん出土されたり、ヒトと牡蠣の歴史は非常に深いそうです。さすがにその頃は加熱して食べていたんだろうか?

https://www.fsc.go.jp/fsciis/questionAndAnswer/show/mob07016000036

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/suikisei/annzenn1.html

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kaki/kaki01.html

貝類の貝毒

毒をもったプランクトンを餌として食べることで、貝類が体内に蓄積した毒を貝毒といいます。

アサリや牡蠣などの二枚貝は貝毒を蓄えやすいです。

そのため定期的に各都道府県で貝毒検査が実施され、基準を超えた場合は出荷停止となるなどの対策が取られています。

市場では「〇〇(産地名)の牡蠣は貝毒出ちゃって出荷停止だよ~」などといった会話が毎シーズン1回は行われている気がします。

貝毒には主に3つの種類があります。

  • 下痢性貝毒(オカダ酸、ディノフィシストキシンなど)
  • 麻痺性貝毒(ゴニオトキシン、サキシトキシンなど)
  • 記憶喪失系貝毒

このうち日本国内で問題になるのは下痢性貝毒と麻痺性貝毒ですが、1980年代前半まで中毒事件が出た以降、検査によるモニタリングが実施されたおかげで市販品による下痢性貝毒食中毒は起こっていないそうです。

福島県では貝毒情報がインターネットで公開されてるようです。

https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/37380b/kaidoku-2.html

https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_11.html

牡蠣は天然?養殖?

日本で食用に流通している牡蠣は「イワガキ(岩牡蠣)」と「マガキ(真牡蠣)」です。

ふつう牡蠣といえばマガキを指します。

皆さんが口にする牡蠣はほとんどが養殖ものです。

イワガキは天然が多いですが、最近では春~夏にかけて養殖イワガキが出回っています。

ちなみに厚生労働省によると、養殖の定義は「幼魚等を重量の増加又は品質の向上を図ることを目的として、出荷するまでの間、給餌することにより育成する」とあります。

牡蠣は品質の向上や安定を図ってイカダなどを使い人工的に牡蠣を育てますが、給餌(餌を与える)することがないので養殖の定義には当てはまりません。

そのため魚のようにシール等で「養殖」「天然」の表示をする必要がありません。これはホタテやワカメなどにもあてはまります。ワカメのほとんどは養殖ものです。

夏輝という天然岩ガキブランドもある

美味しい牡蠣をお腹いっぱい食べよう

牡蠣はヒトの歴史に深く関わってきた食材です。

歴史に思いをはせつつ、この美味しい貝を思う存分楽しみましょう。

次回はむき牡蠣の下処理の方法をお伝えいたします。

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