食べて気づいた、東京の寿司と九州の寿司の違い

こんにちは。魚のプロフェッショナルのおもくらです。

先日、ANAの特別セールで鹿児島に行ってきました。さすが鹿児島は魚が新鮮で、おもしろい食材もたくさん売られていました。

旅すがら、鹿児島中央魚市の食堂で寿司を食べました。これでなんと1,200円。激安です。

有名店だけあってかなり混雑している繁盛店でした。

味は美味しかったものの、私はこの寿司はあまり好きではありませんでした。

それが、東京(江戸前)のすしと九州のすしの違いなのだなと感じました。

鹿児島ではゴマサバをサバと呼び、マサバを平サバと呼ぶらしい。

目次

江戸前寿司とは

東京のすしは江戸前寿司と呼ばれ、握り寿司を中心とした、江戸(現在の東京)の郷土料理と呼んでもよい料理です。古くは「江戸ずし」「東京ずし」とも呼ばれました。

現代では超高級料理になっているきらいもありますが、もともとは庶民も楽しめる料理だったそうです。

江戸時代に発祥したこのスタイルでは、豊かな海産物を生かすために、ネタに一工夫加える(和食の世界では「仕事をする」と言います)ことが特徴です。例えば、

  • 鮪や鰤など赤身魚は漬け込んだり炙ったりして旨味を引き出します。
  • イカやエビなど甲殻類は塩茹でしたり湯通ししたりして食感を良くします。
  • アジやサバなど青魚は酢締めや塩締めなどで臭みを消して風味を増します。
  • ウニやイクラなど卵系は塩水や醤油ダレで味付けして風味を保ちます。

これらはすべて、産地から江戸に運ばれてきた際に鮮度が落ちたものを美味しく食べる工夫と考えられます。

そのため、写真のとおり九州の庶民的なすし店では煮穴子や小肌の酢締め、マグロの漬けなど「仕事された」魚が少ないようです。

しかしその分、九州のすし店では魚の鮮度がものすごく良いです。とても良いとかそういうレベルではなく、ものすごく鮮度が良いです。

鮮度が良い魚は「ぷりぷりしている」という表現が用いられることがありますが、あれは実はまだ筋肉が死後硬直していない状態を表しています。

魚は死後硬直すると弾性(ゴムのように跳ね返す力)が失われ、歯切れがよくなります。「熟成」と言われる現象はこれと同時期に起きます。

九州の市場のすし店では、明らかに当日水揚げされたと思われる真鯛とアジが出てきました。これには脱帽です。これが1,200円では東京では絶対に食べられません。

もちろん最近では九州でも高級店になると江戸前スタイルとして、1カンずつ丁寧に仕事したすしを提供する店はたくさんあります。

それは江戸前の一工夫加えるスタイルが逆輸入された形なのでしょう。

ということで旅先ではすしを食べると、その土地の特徴がわかるよという話でした。

来月は香川に行く予定なので、四国のすしも味わってみたいと思います。

でもやっぱり一番美味しいのは、産地で鮮度抜群の魚を江戸前スタイルできちんと仕事した寿司なんだよなと思う筆者でした。

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